【10年歴の実体験】通関業者の輸入貿易事務のリアル

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元通関士が語る通関業者の輸入貿易事務

こりすママは国際総合物流会社に就職して、倉庫現場・営業・通関士と様々な仕事を経験しました。

その中でも、輸出入者と直接やり取りをする貿易事務に特化した実務のリアルをお伝えします。

こりすママのは輸入9割・輸出1割の業務配分でしたので、今回は輸入貿易の実務に絞って説明をします。

この記事は貿易業務に関わる人向けに、通関依頼・D/O交換・アライバル支払い・請求書作成・といった輸入実務で頻出する手続きと注意点をわかりやすく整理して解説します。

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この記事を読むとわかること

輸入貿易事務の実務

実務での注意点

通関士に依頼する上での注意点

目次

通関業者の輸入貿易事務の全体像

輸入貿易事務は、通関・他法令関係手続・D/O交換・アライバル支払い・輸出入許可・貨物引取・納入に至る一連のフローの中で複数の書類と手続きが連動して進む業務です。


各段階で必要な書類や適切な手続きを事前に整理しておくことで、納入スケジュールの遅延を回避します。


物流ネットワークは港湾、海運会社、陸上輸送業者、CFSや倉庫業者など様々な業者が連携して成り立っています。

通関関係書類受領

通関業者の貿易事務は、輸入者から通関依頼を受ける所から始まります。

通関に必要な書類の受領方法は以下パターンが想定されます。

  • 電子メー添付(8割~9割。主流なやり方)
  • FAX(1割くらい。たまにある)
  • 原本(ほぼない)

輸入者もFAXで書類を入手しているとFAX送付してくるが、フォーマットによっては文字がつぶれて見にくくなる。

貨物引取に必要なオリジナルのB/L発行の場合は、原本送付が多くなります。

通関関係書類受領後は、定期依頼の貨物はいつもと異なる箇所がないか書類のチェックをして、新規貨物の場合は、通関に必要な情報を輸入者に求める必要があります。

書類をチェック後、担当の通関士に通関書類一式(コピー)を手配します。

こりすママの実務では、必要事項を記載した依頼書を表紙にして通関士に通関依頼をしていました。

不在対応がスムーズになるので依頼書の情報は正確に、進捗状況をしっかり記入することが大切です。

通関依頼書に記載していた主要な事項

  • 入港日&本船名
  • 搬入場所
  • 輸入申告日
  • 添付書類の内容

担当通関士や別の誰かが担当する場合であっても情報がいきわたるように可視化していました。

輸入許可後に、通関業者の倉庫に保管をするパターンもあるので、倉庫現場担当者向けの情報も記載していました。

  • D/O交換日
  • コンテナピック日

担当通関士から書類内容について問い合わせの可能性もあるので、全く同じ書類を手控えとして持っておきましょう。

主な通関関係書類は下記参照

  • インボイス(貨物の内容・金額)
  • パッキング(貨物数量)
  • B/L(船荷証券)←オリジナルのB/Lが発行されることもある
  • A/N(貨物到着案内)←船の入港が近づいてきたら発行される

その他に、分析表、貨物画像、他法令の検査証明書、原産地証明書などが必要となる場合があります。

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税関への輸入申告のタイミング

税関への輸入申告タイミンは下記参照

  • 輸入:コンテナ貨物→基本的に船の入港日の翌営業日に税関への申告
  • 輸入:混載貨物→コンテナが指定の場所でデバンしてから税関への申告

コンテナ単位で輸入申告する場合は、船の入港日の翌日がヤードへの搬入日となる場合が多いので、搬入確認後輸入申告となります。

コンテナの中に、複数の荷主の貨物が混載されている貨物の場合は、混載貨物の作業をする業者があるので、その業者の蔵置場所に搬入されてからの申告となります。

ヤードへの搬入前に税関へ申告する予備申告制度があり、特に急ぎの貨物の場合に採用されます。貨物の引取時間の短縮を目指すやり方です。混載貨物では使用不可です。

輸入申告した結果

輸入申告をした結果は下記パターンがあります。

  • 区分1(輸入申告と同時に許可)
  • 区分2(税関の書類審査)
  • 区分3(税関検査)

区分2と区分3は流動的です。

書類審査を経て税関検査になることもありますし、税関検査から書類審査どまりで輸入許可がおりる場合もあります。

税関検査を回避できるのか?と輸入者から問い合わせを受けたことがありますが、税関検査を回避することはできません。

前述の予備申告制度でも審査区分は払い出しされますが、ヤード搬入後の本申告に切り替わった際区分変更が起こる場合は十分に考えられます。

実際、予備申告(区分1)→本申告(区分2)→書類審査の結果税関検査(区分3)のパターンを何度か経験しました。

輸入者には、予備申告の結果は変わる場合もあり絶対ではないことは、自衛のために必ず説明しましょう。

輸入許可後

輸入許可後、輸入者に輸入許可書を電子メールやFAXで通知します。

輸入許可書には輸入の際に必要な関税・消費税の額が通知されているのでとても重要な書類になります。

実務上、関税・消費税は、輸入許可を受けると同時に支払いが完了します。支払いができない場合は、輸入許可はおりません。

関税・消費税の支払い方

関税・消費税の払い方は下記

  • 輸入者が税関宛に提供した担保枠内で支払い
  • 通関業者が立て替えて支払い
  • 輸入者が通関業者に支払って通関業者から税関へ支払い

一番多いのは、税関へ担保の提供をして支払いでした。

1月単位で担保枠内での通関をして、担保枠復活のために税関への支払いをするを繰り返します。担保が足りないけど急ぎで輸入通関したい場合は、通関業者の支払いでしのぐ場合もあります。

通関業者の立替支払いもいまだに多くありますが、1回の輸入取引で億単位の取引があると消費税だけでも1千万単位になるので、通関業者の重い負担となります。

通関業者を財布代わりにする古い体制を少しづつ変えようと業界全体で取り組んでいます。

輸入者は全ての支払先を通関業者にまとめたいためにこのよう取引があります。

大手企業にもこのような取引形態を良しとしている風潮があり、どうにかならないとか思っています。

D/O交換(コンテナの場合)

上記の輸入許可を待つのと同時進行で、D/O交換・アライバル支払いを済ませてコンテナピックに備えておきます。

D/OはDelivery Orderの略で貨物引渡しの指示書類を指し、船会社やその代理店が発行することが多い書類です。

一般にB/L(船荷証券)が貨物の所有権を示すのに対し、D/Oはターミナルや倉庫が貨物を引き渡すために必要な指図書として機能します。

昔は、D/O交換用の書類が発行され、その書類を持参するのが一般的だったそうです。

現在のD/O交換は、船社が発行するアライバルノーティスに記載された請求金額を支払うことで完了する場合がほとんどです。

D/Oレスで紙の書類の発行もなく、船社が支払い確認後リリース許可データをとばして終了するのが大半です。

現在の貿易事務は、物流の遅延や停滞を防ぐため、オンライン化されていてとても便利になっています。

なので、D/O交換は船社に必要金額を払い貨物リリースを依頼すると考えれば相違ないです。

D/O交換の際、オリジナルB/Lの受け渡しが必要な場合があるのでよく確認をしましょう!

D/O交換(混載貨物の場合)

少量の貨物を海上輸送する場合は、コンテナの場所を一部借りて輸送します。

ヤマト運輸や佐川急便が個人宛の荷物を複数トラックに積んで輸送するイメージと同じです。

コンテナを単独で占有しない混載貨物LCL(Less than Container Load)なので、関税・消費税未払いの状態で、そのコンテナの開封作業(デバン作業)をする倉庫業者の営業所CFS(Container Freight Station)に運ばれます。

上記運送方法を保税運送といいます。

倉庫でデバン作業が完了して間違いなく貨物が搬入されたら、搬入データを倉庫業者がシステム上(NACCS)に入力してくれます。

データを確認後に、輸入申告・輸入許可がされます。

複数ある貨物の中で街頭の貨物を判別するためのルールがあります。

  • 貨物の数量
  • 貨物の個数
  • 貨物の荷姿
  • 貨物の記号番号(通常はシッピングマーク)

混載貨物はコンテナ単位ではなく、間違いなくその貨物の所有者を特定するために、紙のD/O(デリバリーオーダー)と輸入許可書をセットで引き取りに行くのが前提です。

引取り手順がFCLと異なるため、搬入時のピックアップ指示やドキュメント管理に注意が必要です。

D/Oを紛失すると再発行はかなりハードルが高いので取り扱いには特に注意が必要です。

アライバルノーティスの支払い

アライバルノーティスの支払いは、原則輸入者がするべきなのですが、実務上は通関業者が立て替えて、作業完了後に通関手数料等とともに請求すことが一般的です。

アライバルノーティスが発行されているということは、本船の入港が近く、輸入申告日も近い状況なので、支払いも速やかにおこなう必要があるので、通関業者が対応した方が都合がいいです。

船社や船社代理店の支払い先が多岐に渡るので、慣れている通関業者が対応するのが一番効率がいいです。

貨物引取

D/O交換処理と輸入許可後にコンテナヤードやデバン倉庫に該当貨物を引取に向かいます。

コンテナ貨物は、通関業者の倉庫で保管作業をしたり、輸入者指定の納入先まで運送したり色々あります。

貨物は蔵置場所の保管期限が設定されているので要注意!

請求書作成のポイント

輸入者の指定場所に貨物を納入するまで依頼されるが一般的で、作業完了後請求書の発行手続きがあります。

通関手数料

通関業者のメインの収入源です。

輸入許可書の内容により請求金額の見積もりが変わる場合があります。

1種類しかない貨物と何十種類とある貨物の申告書が同じ手間で作成はできないので、難易度に応じて請求額が変わるイメージになります。

具体的にはHSコードの数(欄数)がいくつあるかで決まってきます。

  • 1欄~2欄まで(1件)
  • 3欄~6欄まで(2件)
  • 7欄~10欄まで(3件)

1件あたりの請求金額に掛け算して金額を算出します。

昔は、1件あたりの請求額の上限が税関のタリフで決められていたのですが、現在は撤廃されています。

民間企業なのに金額を自由に決めることができなかった悪しき風習だと思います。

取扱手数料

通関手数料とは別に、通関依頼から始まり、輸入申告・D/O交換・アライバルノーティスの支払い・コンテナピック・納入にいたるまで様々な仕事に対する請求項目になります。

輸入者により金額がまったく異なり、簡単なお客さんは高く、手間のかかるお客さんは安い傾向にありました。

アライバルノーティスの立替費用

いわゆる船社チャージにあたり下記のような費用が想定されます。

  • 海上運賃(輸出者が払わない取引の場合)
  • 書類発行費(アライバルノーティスのこと)
  • コンテナハンドリングチャージ(船から降ろす費用)
  • 燃油サーチャージ(中国からの本船で適用増)

輸出者が払わない範囲で、船社が今回の貨物輸送で回収できてない費用の請求になります。

通関業者が立て替えた関税・消費税

通関業者が立て替えた関税・消費税がある場合は、請求書を発行します。

通関依頼の手順と審査ポイント

通関依頼は正確な書類と正しい情報で通関士に渡すことが第一であり、品目分類資料や原産地証明、保険証券などの提出漏れがないように管理することが重要です。


通関はNACCS等の電子申告システムを介して行われ、申告情報の精度は税関審査のスムーズさに直結します。

通関士への通関依頼の書類と提出方法

通関依頼に必要な基本書類は下記参照

  • 通関依頼書
  • インボイス
  • パッキング
  • B/L
  • 原産地証明書
  • 保険証券
  • A/N(アライバルノーティス)


個々の申告ごとに必要書類は異なるので、過去の申告実績を整理し管理しておくことが重要です。


書類の不備がある場合は税関から追加確認が入り、検査や差し止めのリスクが高まるため、事前チェック体制を整えることが重要です。

品目分類(HSコード)判断基準

品目分類(HSコード)の判定は品目の材質、用途、加工度合いなど複数の判定基準を総合して行われ、誤分類は追徴課税や罰則につながるリスクがあります。


担当者は製品仕様書や試験報告書を元に分類判断を行い、曖昧な場合は税関事前教示や専門家の意見を求めることが推奨されます。


社内対応フローとしては分類根拠の文書化、審査実績の保存、関税率変更時の通知ルールを整備することが重要です。

申告から審査までの流れ

NACCS等の電子申告によりデータ送信が行われると税関審査が開始され、必要に応じて税関検査や検疫対象なら検疫所の手続きが入ります。

審査の結果、追加書類要求や検査指定が出た場合は速やかに対応しないと遅延損害が発生します。

関係機関への通知や検査立会いの調整が必要です。


必要に応じて他法令の関係省庁(農林水産省、厚生労働省、経産省など)と調整しながら必要書類や許可を揃える業務が日常的に発生します。

  • 農林水産省(例:植物防疫法)
  • 厚生労働省(例:食品衛生法)
  • 経済産業省(例:ワシントン条約)

通関での差止め・検査・税率誤り発生時の対応手順と法令確認

税関差止めや検査、税率誤りが発生した場合、まずは税関からの通知内容を精査し、必要な追加書類の提出や説明を速やかに行うことが求められます。

誤申告が原因であれば訂正申告や納付、場合によっては過怠税の対応が必要になるため、法令や関係通知を確認して適切な手続きを取り、通関士と連携して対応を進めます。

対応履歴を残し、社内で事後検証を行って再発防止につなげることが大切です。

まとめ

通関業者の輸入申告は、複数の手続きが同時に進行するとても複雑な事務となります。

1件あたりの手数料も高くはないので、常に20件~30件の案件を抱えている、とても忙しい部署になります。

ただ、こんな複雑な作業を輸入者自身が理解してこなせるとは現状思えないので、事務の中でも高度で、そう簡単に置き換わるような単純なものではないです。

今後益々、世界規模での物流の流れは大きく加速していくのは間違いないので、未来は明るいと思います。

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